研究計画
本年度(〜平成25年3月31日)の研究実施計画 10Hzで運転可能なフェムト秒レーザー発生装置Titanium- Sapphire laser systemを構築して、波長800nmで10mJ
/pulse生成運転を行う。フェムト秒レーザー16パルス列生成は、半波長板(1/2 λ plate)によってS偏光を45度
回転した後に偏光ビームスプリッター(PBS)で反射・通過させるとフェムト秒レーザーパルスが二つに分かれる
。通過したS偏光パルスはOptical delay lineによって100fsec程度遅らせる。再度PBSを使ってP偏光パルスとS
偏光パルスを合流させると、フェムト秒レーザー2パルス列が生成できる。これを4回繰り返して、フェムト秒レ
ーザー16パルス列生成を行う。平成24年度は4パルス生成した800nmレーザーの3倍高調波266nmを光高周波源カソ
ードに照射して、フェムト秒電子ミクロバンチ列の生成を確認する。
高周波空洞内で生成光電子の時間構造を保存して加速するためには、クーロン反発力に打ち勝ちかつ動力学的に
バンチ圧縮が生じる高周波位相に乗せる必要がある。光陰極高周波電子銃のカソード端板は空洞の高電界が発生
する位置に固定されている。加速電界が増加する位相(20度)で50fsecミクロパルスがカソードに照射された場合
、S-band(2856MHz)高周波加速電界(130MV/m)は44.46から44.68MV/mまで変化して、後続の光電子は少し大きな加
速を得て動的なバンチ圧縮と同時に急速な加速が行われ、相対論的なエネルギーに近づくことによってクーロン
反発力とローレンツ力が釣り合うようになる。先頭のミクロパルスと最後のミクロパルスの時間差は8psec程度
であり、位相差で8度程度である。加速電界では61.03MV/mまで増加するので、8psecのミクロバンチ列が高周波
電子源出口で30%程度バンチ圧縮を受けることになる。装置構築が順調に進めば、電子ミクロバンチ列構造をCDR
測定によって確認する予定である。
照沼信浩准教授は空洞製作・光陰極蒸着の指導を行う。福田将史特別助教は高周波源・加速器運転を担当する。
本田洋介助教と坂上講師はフェムト秒レーザーの構築と運転を担当する。研究協力者:DeshpandeとLiuは設計と
ビームシミュレーションを担当する。